検査・手術

生殖医療の検査と手術のご案内

検査と手術

生殖医療の検査と手術

妊娠に関わる要因を調べ、ご自身に合った治療へ

妊娠を希望してから一定の期間が経っても妊娠に至らないときは、排卵、卵巣機能、子宮、卵管、精子の状態などを確認します。複数の要因が重なっていることもあるため、パートナー双方の評価が大切です。

初診からすぐに体外受精へ進むとは限りません。まず必要な検査を行い、結果に応じて治療を計画します。子宮内の病変、子宮内膜症、骨盤内の癒着などが見つかった場合は、手術の必要性も個別に検討します。


女性の主な検査

AMH検査と卵巣予備能の評価

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣予備能を評価する指標の一つです。血液検査で測定し、卵子凍結や体外受精の前に、卵巣刺激に対する反応や採卵数の目安を考える参考にします。

AMHが主に示すのは卵子の数に関わる情報です。卵子の質や自然妊娠の可能性は、AMHだけでは判断できません。

  • AMH検査で分かること
  • AMHが低い場合・高い場合
  • 卵巣予備能の評価
  • 卵子凍結前の検査

ホルモン検査

月経周期や症状、妊娠のご希望に応じて、次のような血液検査を行う場合があります。

  • FSH:卵胞刺激ホルモン
  • LH:黄体形成ホルモン
  • E2:エストラジオール
  • PRL:プロラクチン
  • TSH:甲状腺刺激ホルモン
  • プロゲステロン:黄体ホルモン

検査項目によっては、月経周期に合わせて採血します。すべての項目が必要なわけではなく、月経の規則性、排卵の状態、治療計画を踏まえて医師が判断します。

経腟超音波検査と胞状卵胞数(AFC)

経腟超音波検査では、子宮の大きさや形、子宮内膜、卵巣の大きさや構造を確認します。胞状卵胞数(AFC)の測定や、子宮筋腫、卵巣嚢胞、卵巣子宮内膜症性嚢胞などの評価にも用います。

AFCとAMHは、卵巣予備能や、卵子凍結・体外受精における卵巣刺激への反応を見積もる際の参考になります。

子宮卵管造影検査(HSG)

子宮腔に造影剤を注入し、X線画像で子宮腔の形と左右の卵管の通りを確認する検査です。通常は月経終了後から排卵前までに行い、事前に妊娠していないことを確認します。

造影剤の注入時に、月経痛に似た一時的な下腹部痛や張りを感じることがあります。痛みの感じ方には個人差があります。


男性の主な検査

精液検査

精液量、精子濃度、総精子数、運動率、形態などを調べます。結果は禁欲期間、最近の発熱や病気、検体の採取状況などの影響を受けることがあります。結果に応じて、再検査や追加の評価をご案内します。

生殖医療に関わる手術

不妊症の方すべてに手術が必要なわけではありません。病歴、超音波検査、子宮卵管造影検査などの結果をもとに、手術によって得られる利益とリスクを検討します。


子宮鏡検査・手術

細い内視鏡を腟と子宮頸管から挿入し、子宮腔内を直接観察します。必要に応じて、子宮内膜ポリープ、一部の粘膜下筋腫、子宮腔内癒着、子宮腔の形態異常などの治療を検討します。

処置方法や麻酔の必要性は、病変の大きさ、位置、予定する処置によって異なります。

腹腔鏡手術

腹部の小さな切開部からカメラと手術器具を入れ、子宮、卵巣、卵管、骨盤内を確認します。医学的に必要な場合は、子宮内膜症、卵巣子宮内膜症性嚢胞、骨盤内癒着、一部の卵管病変などの評価・治療に用います。

症状、画像所見、年齢、卵巣予備能、今後の妊娠希望をもとに、手術の適否を判断します。

採卵

採卵は、卵子凍結、体外受精(IVF)、卵子提供の際に行う処置です。卵巣刺激後、卵胞の発育に合わせて日程を決め、経腟超音波で確認しながら針で卵胞液を採取します。培養室では、卵胞液の中から卵子を探して確認します。

通常は麻酔または鎮静を用います。処置後は、医療チームの指示に従って休息し、経過を確認します。

自分にはどの検査が必要ですか?

検査は多ければよいというものではありません。年齢、妊娠を希望してからの期間、月経周期、妊娠歴、病歴や手術歴を確認し、診断や治療に役立つ項目を選びます。まずは身体への負担が少ない検査から始め、結果に応じて追加します。

女性の評価で確認すること

卵巣予備能:AMH、胞状卵胞数、必要なホルモン検査。

排卵:月経周期、必要に応じたホルモン検査や超音波検査。

子宮:経腟超音波検査、必要に応じた子宮腔の評価。

卵管:病歴に応じた子宮卵管造影検査など、卵管の通りを確認する検査。

男性の評価で確認すること

精液検査:精子数、運動率、その他の精液所見を確認します。

追加の評価:結果に応じて、ホルモン検査、画像検査、遺伝学的検査などを検討します。

検査結果をもとに、次の一歩を考える

排卵時期の確認や治療方法の調整で進められる方もいれば、人工授精や体外受精を検討する方、先に子宮や卵管の治療が必要な方もいます。宋俊宏婦幼醫院 生殖医療センター(SUNG IVF)では、お二人の検査結果とご希望をもとに、必要な検査と治療の順序をご案内します。

AMH検査と卵巣予備能の評価

卵巣予備能の評価

AMH検査と卵巣予備能の評価

卵巣の状態を知り、将来の妊娠・出産を考える

卵子の数は年齢とともに減少しますが、その変化には個人差があります。AMH、胞状卵胞数(AFC)、関連するホルモン検査は、卵巣予備能を評価し、妊娠を希望する時期や卵子凍結、生殖補助医療を考えるための参考になります。

AMHとは?

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、主に卵巣内の小さな卵胞から分泌されます。血液検査で測定し、刺激に反応する卵胞の数や、卵巣刺激に対する反応の目安として用います。

AMHは月経周期のさまざまな時期に測定できます。一方、基礎値としてのFSHとE2は、通常、月経周期の初めに測定します。

AMHが低いと妊娠できませんか?

AMHが低くても、排卵があり、ほかの条件が整っていれば自然妊娠する可能性はあります。反対に、AMHが正常または高値でも、妊娠しやすいとは限りません。AMHは卵子の質や自然妊娠の可能性を直接示す検査ではないため、インターネット上の基準値だけで判断しないようにしましょう。

胞状卵胞数(AFC)とは?

経腟超音波検査で、左右の卵巣内に見える小さな卵胞を数えます。AMHとあわせて、卵子凍結や体外受精の前に、卵巣刺激への反応を予測する参考にします。

ほかにどのようなホルモンを調べますか?

月経周期、症状、妊娠のご希望に応じて、FSH、LH、E2、TSH、プロラクチン、プロゲステロンなどを測定する場合があります。必要な項目は、月経の規則性、排卵の状態、病歴などから個別に判断します。

AMHは高いほどよいのでしょうか?

必ずしもそうではありません。AMHが高い場合は、小さな卵胞が多い傾向があります。月経不順や排卵障害などを伴う場合は、多嚢胞性卵巣症候群などについて追加の評価を検討します。

卵巣刺激に強く反応する可能性がある方では、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意し、医師が薬の量や経過観察の方法を調整します。

複数の情報をあわせて判断します

年齢、AMH、胞状卵胞数、月経周期、卵巣の病気や手術歴、過去の治療への反応、今後の妊娠希望を総合して評価します。

子宮卵管造影検査のご案内

子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査(HSG)

卵管の通りを確認する検査の流れと注意点

卵管は精子と卵子が出会う場所です。卵管の閉塞や癒着、過去の感染などは、自然妊娠に影響することがあります。子宮卵管造影検査では、子宮腔の形と左右の卵管の通りを確認します。

どのようなときに検査を行いますか?

一定期間妊娠に至らない場合や、骨盤内感染症や卵管の病気の既往がある場合など、医師が卵管の通りを確認する必要があると判断したときに検討します。

検査はいつ受けますか?

妊娠している可能性を避けるため、通常は月経終了後から排卵前までに行います。実際の日程は、月経周期と医療チームの案内に従ってください。

検査の流れ

婦人科の診察と同様に腟鏡を用い、子宮頸管から細い管を入れます。子宮腔へ造影剤をゆっくり注入し、X線画像で次の流れを確認します。

子宮腔に入る → 卵管を通る → 卵管の先から骨盤内へ流れ出る

造影剤が卵管を通って流れ出れば、通常、その側の卵管は通っていると判断します。

検査に痛みはありますか?

注入時に月経痛に似た下腹部痛を感じることがあります。多くは一時的で、強さには個人差があります。検査後に少量の出血、分泌物、一時的な下腹部の違和感が出ることもあります。

画像で閉塞が見られた場合、卵管は必ず詰まっていますか?

必ずしもそうではありません。特に両側の卵管の子宮に近い部分で閉塞が疑われる場合、一時的な筋肉の収縮や管の位置によって、造影剤が通らないことがあります。画像や病歴をもとに、追加の確認が必要かを医師が判断します。

検査前に伝えていただきたいこと

妊娠の可能性、治療中の骨盤内感染症、多量の子宮出血、中等度以上の造影剤アレルギー歴がある場合は、事前に医療チームへお伝えください。検査を受けられるかを医師が判断します。

精液検査のご案内

精液検査

精液検査

男性の妊孕性を評価する検査

精液量、精子濃度、運動率、形態、液化時間、pHなどを測定し、男性の生殖機能を評価する参考にします。

パートナー双方の評価が大切です

妊娠に至らない背景には、男性側の要因が関わることもあります。早い段階で精液検査を行うことで、その後に必要な評価や治療を検討しやすくなります。

検査を相談する目安

  • 妊娠を希望して1年以上経っても妊娠に至らない
  • 女性のパートナーが35歳以上で、6か月以上妊娠に至らない
  • 不妊症の既往がある
  • 精巣、尿路、鼠径部の手術を受けたことがある
  • 精索静脈瘤がある
  • 性機能や射精に関する悩みがある
  • 化学療法や放射線治療を受けたことがある
  • 精子凍結を検討している

精液検査の参考値

1. 総精子数

1回の射精あたり3,900万個。

2. 精子濃度

1 mLあたり1,600万個。

3. 総運動率

42%。

4. 正常形態率

4%。

5. 前進運動率

30%。

6. 精液量

1回の射精あたり1.4 mL。

これらの数値は参考値です。一つの数値だけで妊娠の可能性や不妊症の有無を判断するものではありません。

検査前の注意点

  • 当院の案内に従い、検査前は3~5日間、射精を控えてください。
  • 検査前は睡眠不足、過度の疲労、多量の飲酒を避けてください。
  • 最近の発熱や感染症、服薬については事前に医師へお伝えください。
  • 検査当日は、医療スタッフの案内に従って検体を採取してください。

検査の流れ

1. 診察

妊娠を希望してからの経過や病歴を確認します。

2. 検体の採取

医療スタッフの案内に従って検体を採取します。

3. 検査室での測定

精子数、運動率、形態などを測定します。

4. 結果の説明

医師が結果を説明し、必要に応じて次の検査や治療をご案内します。

よくあるご質問

検査前に食事を控える必要はありますか?

精液検査のための絶食は不要です。通常どおり食事を取っていただけます。

結果に異常があれば、不妊症ですか?

必ずしもそうではありません。精液所見は睡眠、ストレス、感染症、服薬、生活習慣などの影響を受けることがあります。必要に応じて再検査や追加の評価を行います。

結果が正常なら、必ず妊娠できますか?

精液検査の結果だけで妊娠を予測することはできません。パートナーの生殖機能、お二人の健康状態、妊娠を試みる時期なども関わります。

精液検査から、男性の妊孕性を知る

SUNG IVFでは、プライバシーに配慮した環境で検査を行い、結果に応じて今後の妊娠・治療計画をご案内します。

腹腔鏡検査と手術のご案内

腹腔鏡検査・手術

腹腔鏡検査と治療

子宮内膜症・チョコレート嚢胞・骨盤内癒着

腹腔鏡では、子宮、卵巣、卵管と周囲の組織を直接確認でき、病変によっては同じ手術で処置できます。不妊症の方すべてに腹腔鏡検査や手術が必要なわけではありません。

どのような場合に腹腔鏡を検討しますか?

子宮内膜症、卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)、骨盤内癒着、一部の卵管病変などが対象になることがあります。ほかの検査で判断が難しく、手術による確認が必要な場合にも検討します。

手術はどのように行いますか?

通常は麻酔下で、腹部の小さな切開部から腹腔鏡と器具を入れ、骨盤内を確認します。所見に応じて、子宮内膜症病変の処置、癒着の剥離、卵巣嚢胞や卵管の治療を行う場合があります。

子宮内膜症があれば、体外受精の前に手術が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。痛みの程度、年齢、手術歴、今後の妊娠希望、ほかの不妊要因、卵巣予備能をあわせて判断します。

チョコレート嚢胞がある方に対し、体外受精での出産率を上げることだけを目的とした一律の手術は推奨されていません。卵巣の手術そのものが卵巣予備能に影響することもあります。

手術を検討することがある場合

痛みが強い場合、病変の診断や治療が必要な場合、嚢胞が採卵の妨げになる場合などには、手術を個別に検討します。手術で得られる利益と、妊孕性への影響の両方を考えることが大切です。

採卵の流れと処置後の注意点

採卵

採卵の流れと注意点

卵子凍結・体外受精における採卵前後のご案内

採卵は、卵子凍結や体外受精のために卵子を採取する処置です。卵巣刺激後、卵胞の発育を確認し、卵子の最終成熟を促す注射と採卵の時刻を決めます。

採卵前には何をしますか?

年齢、AMH、胞状卵胞数、過去の治療への反応などをもとに、卵巣刺激に用いる薬を選びます。経腟超音波検査と必要に応じた血液検査で卵胞の発育を確認します。

採卵は、最終成熟を促す注射の約34~38時間後を目安に、治療計画に合わせて行います。注射時刻と来院時刻は、医療チームの指示を必ずご確認ください。

採卵はどのように行いますか?

通常は鎮静または麻酔を用います。経腟超音波で確認しながら、腟壁を通して細い針を卵胞に入れ、卵胞液を採取します。培養室で卵子を確認します。処置時間は卵胞数や身体の状態によって異なります。

卵胞の数と採れる卵子の数は同じですか?

同じとは限りません。超音波で確認したすべての卵胞から卵子が採れるわけではなく、採れた卵子がすべて成熟しているとも限りません。卵胞数、採卵数、成熟卵子数はそれぞれ別の数です。

採卵後に起こることがある症状

下腹部痛、お腹の張り、少量の性器出血、麻酔後の疲れなどがみられることがあります。まれに出血や感染などの合併症があり、卵巣刺激を受けた場合は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にも注意が必要です。

腹痛やお腹の張りが急に強くなる、息苦しい、嘔吐が続く、尿量が著しく減る、多量の出血や発熱がある場合は、速やかに医療チームへご連絡ください。

採卵当日は自分で運転できますか?

鎮静や麻酔を受けた場合は、ご自身で車やバイクを運転しないでください。医療チームの指示に従い、付き添いの方と帰宅し、ご自宅で休息してください。

PRP療法と生殖医療の補助療法

PRP療法と生殖医療の補助療法

PRP療法と生殖医療の補助療法

卵巣内PRP注入|卵巣刺激への反応をめぐる研究

卵巣予備能が低い方や、体外受精で採卵数が少なかった方の卵巣反応を改善できるかは、現在も研究されています。卵巣内PRP注入は、ご自身の血液から作製した多血小板血漿を卵巣に注入する方法です。

PRPとは?

PRP(Platelet-Rich Plasma)は、多血小板血漿のことです。ご本人の血液を採取し、遠心分離して血小板を多く含む血漿を作製します。経腟超音波で確認しながら、細い針で卵巣組織へ注入します。

血小板が放出する成長因子によって、組織の修復や血管新生、卵巣周囲の環境に変化が起こる可能性が研究されています。ご自身の血液を用いますが、処置に伴うリスクはあります。

どのような効果が研究されていますか?

  • 卵巣組織や局所の血流への影響
  • 卵巣刺激薬への反応の変化
  • その後の治療で得られる卵子数への影響

これらは研究されている項目であり、確立した効果ではありません。年齢、卵巣予備能、胞状卵胞数、卵子の状態などに個人差があります。

どのような場合に相談できますか?

AMHや胞状卵胞数が低い場合、以前の刺激に対する卵巣の反応が弱かった場合、採卵数が少なかった場合などは、次の治療を検討する際にご相談いただけます。これらの所見だけで施術の適否は決まりません。医師が年齢、超音波や血液検査、治療歴、健康状態を確認します。

処置の流れ

1. 事前評価:AMH、FSH、胞状卵胞数、過去の採卵結果などを確認します。必要に応じて、血液検査や血液凝固に関する検査を行います。

2. 採血とPRPの作製:ご本人の血液を採取し、専用の機器で遠心分離します。

3. 卵巣内への注入:経腟超音波で確認しながらPRPを注入します。麻酔や鎮痛の方法は、個別の状態と処置計画に応じて決めます。

4. 経過観察と帰宅:処置後は休息し、体調が安定していることを確認してから帰宅します。軽い下腹部痛や少量の出血が出ることがあります。

5. 再診と治療計画:卵巣機能、月経周期、治療計画に応じて、血液検査、超音波検査、次の卵巣刺激の日程を検討します。

処置前後の注意点

薬やサプリメントの使用、抗凝固薬、血液凝固や血小板の異常、感染症の有無について医師にお伝えください。処置後は、指示に従って休息・再診し、一時的に激しい運動や重い物を持つことを控えてください。薬は自己判断で変更しないでください。

強い腹痛や続く痛み、多量の出血、発熱、めまいがある場合は、速やかに医療チームへご連絡ください。

卵子の質や妊娠率は改善しますか?

一部の研究では卵巣の反応や採卵数の変化が報告されていますが、卵子・胚の質、妊娠率、出産率を改善すると結論づけるだけの、一貫した質の高い根拠は十分ではありません。

英国のヒト受精・胚研究認可庁(HFEA)は、PRPに関する根拠が限られている点を指摘しています。欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)も、補助療法を検討する際は、根拠、リスク、不確実性について十分な説明を受けることを重視しています。

卵巣の加齢を逆転させたり、新しい卵子をつくったりする方法として確立されているわけではなく、標準的な生殖医療や体外受精に代わるものでもありません。

子宮内膜スクラッチ|子宮内膜に機械的な刺激を加える処置

着床には、胚の状態に加え、子宮内膜、子宮腔の形、移植の時期などが関わります。胚移植を繰り返しても着床に至らない場合は、まず考えられる原因を調べます。子宮内膜スクラッチはPRPを用いない別の処置です。

どのような処置ですか?

ここで紹介する方法では、子宮鏡で子宮腔と内膜を観察し、予定した部位の内膜に軽い機械的刺激を加えます。局所の修復反応や炎症反応に伴う変化が、着床に影響するかどうかが研究されています。

子宮鏡では、子宮内膜ポリープ、子宮腔内癒着、粘膜下筋腫などを確認できます。子宮鏡による病変の確認と、スクラッチ自体の効果は分けて考える必要があります。

どのような場合に追加の評価を相談できますか?

  • 胚移植を複数回行っても着床に至らない
  • 子宮腔や内膜の異常が疑われる
  • ポリープ、癒着、粘膜下筋腫などの既往がある
  • 超音波検査だけでは子宮腔の状態を十分に評価できない
  • 次の胚移植前に、子宮腔の状態をさらに確認する必要がある

着床に至らない理由は一人ひとり異なります。胚の染色体、子宮腔、子宮内膜、ホルモンなどの所見を総合し、子宮鏡検査や処置の必要性を判断します。

処置の流れ

1. 事前評価:体外受精や胚移植の経過、月経周期、子宮に関する病歴、超音波所見を確認します。

2. 子宮鏡検査:細い内視鏡を腟と子宮頸管から入れ、子宮内膜、子宮腔の形、卵管の開口部を観察します。

3. 内膜への刺激:実施する場合は、所見に応じて予定部位に刺激を加えます。見つかった病変を同時に処置できるかは、病変の状態、処置方法、麻酔の計画などによって異なります。

4. 経過観察:軽い下腹部痛や少量の出血が出ることがあります。体調を確認したうえで帰宅し、医師の指示に従って休息します。

5. 胚移植の計画:月経周期や内膜の回復状況をもとに、服薬、超音波検査、移植時期を検討します。

処置前後の注意点

妊娠の可能性、抗凝固薬の使用、麻酔へのアレルギーや過去の副作用、血液凝固の異常、骨盤内感染症について事前にお伝えください。麻酔を予定している場合は、飲食制限の指示に従ってください。

処置後は、指示に従って休息・服薬・再診し、短期間は激しい運動、浴槽につかる入浴、水泳を控えてください。性交や腟剤の使用再開は医師にご確認ください。

多量の出血、悪化する腹痛、発熱、悪寒、めまい、強いにおいのある分泌物が出た場合は、速やかに医療チームへご連絡ください。

着床率は上がりますか?

研究結果は一致しておらず、着床率、妊娠率、出産率が一般的に改善するとは確認されていません。HFEAによる評価でも、体外受精や顕微授精を受ける方で結果にばらつきがあり、着床に繰り返し至らない方の出産率の改善を示す十分な根拠はありません。すべての方に必要な処置ではなく、効果やリスク、根拠の限界について説明を受けたうえで判断します。

子宮内PRP注入|子宮内膜に対する補助療法の研究

着床には、胚の状態や子宮内膜の厚さ、血流、胚を受け入れる状態などが関わります。内膜が薄い、ホルモン治療を行っても十分に厚くならない、胚移植を繰り返しても着床に至らないといった場合に、子宮内PRP注入が補助療法として研究されています。

子宮内PRP注入とは?

ご本人の血液を遠心分離して多血小板血漿を作製し、細いカテーテルで子宮腔内に注入します。血小板に含まれる成長因子が、内膜の修復、細胞の増殖、血管新生などに及ぼす影響が研究されています。ご本人の血液を用いるため、他の方の血液成分を用いる処置ではありません。

どのような効果が研究されていますか?

  • 子宮内膜の修復や発育への影響
  • 薄い子宮内膜の厚さや局所の血流の変化
  • 胚の受け入れに関わる子宮内膜の状態への影響

これらは研究されている項目であり、確立した効果ではありません。内膜が薄い原因、子宮腔の状態、胚の状態、ホルモンへの反応なども考慮します。

どのような場合に相談できますか?

内膜が薄く移植を延期・中止したことがある場合、ホルモン治療後も内膜が十分に発育しない場合、移植を繰り返しても着床に至らない場合、子宮腔内の手術や癒着の既往がある場合などに、専門医が状態を確認します。

内膜の薄さや着床に至らない原因はさまざまです。ポリープ、癒着、粘膜下筋腫、慢性子宮内膜炎、ホルモンや胚に関わる要因などを先に評価します。

処置の流れ

1. 事前評価:月経周期、内膜の厚さ、移植歴、病歴を確認し、経腟超音波検査を行います。必要に応じて子宮鏡検査などを検討します。

2. 採血とPRPの作製:採取した血液を遠心分離し、処置に用いるPRPを準備します。

3. 子宮腔内への注入:細いカテーテルを子宮頸管から入れ、PRPをゆっくり注入します。人工授精や胚移植に似た手順で、通常は麻酔を必要としませんが、個別の状況に応じて判断します。

4. 休息と帰宅:処置後は短時間休息し、体調を確認してから帰宅します。軽い下腹部の張り、少量の出血、分泌物の増加などがみられることがあります。

5. 内膜の確認と移植の計画:超音波で内膜の厚さや形を確認し、服薬、再度の注入を検討するかどうか、胚移植の時期について相談します。

処置前後の注意点

薬やサプリメント、抗凝固薬の使用、血小板の病気、血液凝固の異常、子宮の感染症などについて医師にお伝えください。当日は激しい運動や重い物を持つことを控え、薬を自己判断で中止・変更せず、指定日に受診してください。

悪化する腹痛、多量の出血、発熱、悪寒、強いにおいのある分泌物がある場合は、速やかに医療チームへご連絡ください。

子宮内PRP注入で着床率は上がりますか?

一部の研究では内膜が薄い方の内膜厚に変化が報告されていますが、対象となる方、PRPの作製方法、注入回数、治療計画は研究によって異なります。着床率、臨床妊娠率、出産率が一般的に改善すると判断できるだけの根拠は十分ではありません。

HFEAも、PRPが生殖医療の結果を改善するという根拠は限られており、長期的な影響についてさらに研究が必要としています。内膜が厚くなることや妊娠を保証する処置ではありません。子宮腔と内膜、胚の状態、過去の治療結果を踏まえて、可能性と限界を医師とご相談ください。

このページは患者さま向けの一般的な情報です。検査や治療の適応、実施時期、方法、リスクについては、生殖医療の専門医が個別に判断します。

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